コロンブスはカカオに遭遇した最初のヨーロッパ人ですが、カカオに興味を持ちませんでした。
チョコレートの歴史舞台がヨーロッパへ渡ったきっかけは、16世紀のクリストファー・コロンブスによる新大陸到達です。
コロンブスは、チョコレートの原料であるカカオに出会った最初のヨーロッパ人だといわれています。
1502年、新世界へ3度目の航海をしたコロンブスは、カカオ豆を運ぶ交易船に遭遇しました。
その様子が、コロンブスの子、フェルナンドによる『提督クリストバル・コロンブスの歴史』に記述されています。
コロンブスがホンジュラス沖合のグアナハ島に到着したとき、マヤ人らしき人々が乗る貿易用カヌーに交易品の中に「アーモンド」の存在を目撃しました。
フェルナンドが記述している「アルメンドラ(アーモンド)」はカカオのことを指していることは間違いないとされています。
「アーモンドが落ちると自分の目を落としたかのように、一生懸命に探しては拾った」という記述があり、人々にとってカカオをとても大切なものであったことががうかがえます。
しかし、航路探索に夢中になっていたコロンブスは、カカオに興味を持たなかったということです。
コロンブスによるカカオ発見の後、ヨーロッパに初めてカカオが持ち込まれた国はスペインでした。
16世紀、スペイン人エルナン・コルテスがアステカを征服しました。
コルテスは国王カルロス1世に「ショコラトル」という不思議な飲み物があることを報告しました。
ショコラトルはカカオ豆、トウモロシの粉や唐辛子などを混ぜて泡立てた甘味がない飲料です。
このショコラトルこそが、チョコレートの元祖でした。
カカオの食べ物としての価値を見出したのは修道士たちともいわれています。
1534年、ピエドラ修道院でヨーロッパで初めてカカオが調理されました。
また、1544年にドミニコ会修道士たちがマヤ人の貴族を伴い、フェリペ皇太子に謁見した際に、泡立てたチョコレートを用意しました。
スペインではカカオを美味しく飲む工夫がなされ、お湯で溶き、砂糖で甘さを加えて飲む方法が主流となりました。
カカオの栽培も開始されますが、その製造方法は100年近く門外不出とされました。